桜 咲久也の日記

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自衛隊のフィリピン分散配置――政府に戦略はあるのか?

自衛隊のフィリピン分散配置

――政府に戦略はあるのか?

2012年4月24日 黒川白雲氏、ブログ転載

在日米軍再編見直しにからみ、米海兵隊自衛隊がフィリピンの
訓練施設を共同使用する方向で日本政府とアメリカ政府が検討を
始めたことが分かりました。
(4/24産経「自衛隊がフィリピン基地使用 日米が検討開始、
パラワン島有力」⇒http://goo.gl/xzcNB
 
報道によると、共同使用する施設は、パラワン島フィリピン海
空軍基地が有力で、ルソン島の基地も候補として挙がっています。
 
日米両政府は米自治領・北マリアナ諸島テニアンの米軍基地を
自衛隊が共同使用することでも合意しており、アジア・太平洋地域
で複数の基地を共同使用することで、海洋進出を図る中国を
牽制するのが狙いです。
 
アメリカ政府は在沖縄アメリ海兵隊を移転し、ハワイ、グアム、
オーストラリアのダーウィンを巡回する「ローテーション配置」
の拠点の一つとしてフィリピンを検討しており、フィリピン政府
と交渉中ということです。
 
日本とアメリカがフィリピンの訓練施設共同使用の検討を始めた
のは、アメリカ軍、自衛隊を分散配置することで、中国などによる
第一撃を受けた後も反撃できる「抗堪性(こうたんせい;敵からの
攻撃に耐えて機能を維持する能力)」を強化することを目的と
しています。
 
しかし、アメリカ軍の分散配置は戦略的に意味がありますが、
自衛隊の分散配置については一定の疑問が残ります。
 
アメリカと違って、日本全土が中国に隣接しているため、第一撃
が致命傷につながりかねないからです。
 
中国がアメリカ本土を直接攻撃するためには大陸間弾道ミサイル
(ICBM)を使用する必要があり、中国にとって使用には非常なリスクを伴います。
 
しかし、日本を攻撃するためなら、中距離弾道ミサイル(IRBM/MRBM)
を始めとして爆撃機、戦闘機、潜水艦などを使うことができ、
アメリカを攻撃するよりもリスクは少なくて済みます。
 
中国が推進している接近阻止・領域拒否
(Anti-Access/AreaDenial,A2AD)戦略は、アメリカの本土を攻撃
するのではなく、アメリカの同盟国にある基地や移動している
アメリカ海軍の空母打撃群、遠征打撃群を攻撃して、アメリカ軍
の接近を拒否して中国の本土を守ろうとする一連の戦略システムです。
 
アメリカ統合参謀本部が発表し、実質的に推進している新しい
コンセプトであるJoint Operational Access Concept
海上自衛隊仮訳⇒ http://goo.gl/1jCuo )は、そういった
中国の戦略を排除し、任務達成に十分な行動の自由を有した状態で
軍隊を作戦区域に投入する能力です。
 
そこで目指されているものは、アメリカ軍の行動の自由を確保
することに尽きます。中国人民解放軍アメリカ軍が強大であることを
知っており、その隙をついて攻撃しようとしているので、その隙を
無くすということなのです。
 
このようなアメリカの一連の動きは中国の戦略に対する抑止と
なりますが、日本が自衛隊をフィリピンやテニアン島などに出す
ことは、日本を守るはずの自衛隊の一部を日本から引き離すことを
意味するため、日本本土の防衛力とのトレードオフ関係を考慮に
入れる必要があります。
 
もし、日本が主体的に国際社会で貢献するという意志と戦略が備わっており、
日米同盟を中核として中国包囲網を築いていくという政府の強い意志が
あるならば、この動きは、日本の国防にとってもプラスに働くでしょう。
 
しかし、ただ単に、民主党政権普天間基地移設問題でこじれてしまった
アメリカのご機嫌をとるために、「米軍の言うことは何でも従います」
という発想で、戦略なく自衛隊をフィリピンに送るのであれば、
シーレーン防衛はおろか、日本自体を防衛することが困難になって来る
ことを意味します。政府に戦略はあるのか、野田首相に問いたいと思います。

 

 

 


転載、させていただいた記事です
http://kurokawa-hakuun.hr-party.jp/defense/2222/